市長施政方針 印刷用ページ

最終更新日:
2018年2月26日
 平成30年度当初予算案をはじめ、これに関連する議案の審議をお願いするにあたり、議員各位をはじめ、広く市民の皆さんのご理解を賜りたく私の施政方針を申し上げます。

はじめに

 昨年4月、国賓として初めて来日されたフェリペ6世スペイン国王王妃両陛下が、静岡市を訪問されました。天皇皇后両陛下と共に、400年もの間、久能山東照宮にて大切に保管されていた洋時計をご覧になり、また、静岡浅間神社にて廿日会祭の伝統行事である稚児舞をご鑑賞されました。
 天皇皇后両陛下が御幸通りを通られたのは、実に87年ぶりのことでした。議員各位と、その歴史的瞬間を共有できたことは、私どもの大きな喜びであり、本市が推進する「世界に輝く静岡の実現」を象徴する一つの通過点として、かけがえのない成果であったと自負しています。
 平成30年度は、第3次静岡市総合計画(3次総)の前期4年間の最終年度、そして私自身に与えられた今任期の仕上げの1年となります。3次総の前期を総括し、その成果を市民の皆さんに分かりやすく示していく 年にしなければなりません。引き続き“鳥の眼”をもって、地球規模での本市のあるべき姿を見定めつつ、“虫の眼”をもって、葵・駿河・清水の3区、78の連合自治組織の諸課題を見据えて、市民一人ひとりが自分らしい人生を謳歌できる、世界に輝くオンリーワンの都市を目指していきます。

Think Globally(地球儀を俯瞰する):SDGsと<5大構想>について

 「地球儀を俯瞰する」 安倍晋三首相は、本年の施政方針演説においてこのように述べ、我が国が世界の平和と繁栄に貢献する決意を示し、自治体に対して、国際連合が掲げるSDGs実現への協力を要請されました。
 SDGsとは、2015年9月に国連サミットにおいて全会一致で採択された、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)の略称です。この目標達成に向けて、国連加盟国は2030年までに「地球上の誰一人として取り残さない」との合言葉の下、この地球から貧困や飢餓、環境汚染や気候変動、テロや戦争などがもたらす“人類の不安や不幸”を除去する努力を求められることとなりました。SDGsとは先進国も途上国も共に、いわば「この世界を♪ずっとみんなで」良くしようという17の目標と169の ターゲットから構成された、15年間に渡る“国連版の総合計画”なのです。
 これに呼応して、国は先頃「地方創生に向けた自治体SDGs推進事業について」との指針を公表し、自治体のSDGsの取組を後押しし始めました。もとよりSDGsが目指す国際社会の姿は、静岡“市民の安心や幸せ”を 実現しようとする、本市が目指す都市の姿と重なります。
 そこで本市では全国に先駆けて来年度から、3次総の中にSDGsを組み込む作業に着手することにしました。具体的には、SDGsが掲げる17の目標の幾つかを、3次総のとりわけ<5大構想>実現に向けた工程表の中に盛り込み指標化する取組を始めます。3次総に、より高いストレッチ目標を掲げることにより、その実現への加速力としていこうという試みです。
 幸いこれまでの取組を通しても、<5大構想>のうち静岡都心、清水都心そして草薙・東静岡副都心の「世界に存在感を示す3つの都心づくり」に蒔かれた種が、少しずつ芽生えてきていると手応えを感じています。
 静岡都心の≪歴史文化の拠点づくり≫では、駿府城天守台の発掘調査の過程で、江戸城をも凌ぐ日本一のスケールの天守台が姿を現していますし、歴史文化施設の建設に向けては、世界に名だたる建築家の手によって設計が進んでいます。清水都心の≪海洋文化の拠点づくり≫では、清水港の国際クルーズ拠点形成港湾の指定を受け、客船の寄港が飛躍的に増加する中、海洋文化施設の整備に向けた基本計画の策定が始まり、新清水庁舎にあっては基本構想案が固まり、目下パブリックコメントが実施されています。そして草薙・東静岡副都心の≪教育文化の拠点づくり≫では、草薙地区に今春、常葉大学新キャンパスが開学する一方、東静岡地区には、「アート&スポーツ/ヒロバ」の一角に、ローラースポーツパークが暫定整備され、市内外から多くの若者を呼び込んでいます。
 以上の考え方とこれまでの成果の下、来年度はこれらの芽をさらに育てていくべく、SDGsの指標化という新たな養分を与え、<5大構想>をリーディングプロジェクトとした3次総を引き続き強力に推進していきます。

Act Locally(市民が実感する):予算編成の考え方と予算規模について

 「市民が実感する」 私が当初予算案の編成にあたり、最も念頭に置いたことは、3次総の進捗に伴って、市民の皆さんに肌感覚で「まちが変 わってきた、活気が出てきた、ようやく景気が良くなってきた」と実感していただけるかどうかという一点です。そこで、来年度も400億円超の投資的経費を維持しつつ、政策・施策のより一層の選択と集中を図って、一般会計としては過去最大となる積極的な予算案を編成することとしました。

予算の内訳は、
一般会計において 3,122億円、
特別会計において 2,386億1,420万円、
企業会計において   772億5,500万円、
全会計で     6,280億6,920万円 です。

 一般的に、地域経済の活性化を図るためには、自治体の公共投資が呼び水となり、企業などによる民間投資が喚起され、そして雇用の増大がもたらされるという好循環を仕組んでいくことが必要です。幸い今年の景況について、多くのエコノミストが、「国内外とも景気は緩やかな回復基調にあり、世界経済の好循環が実現しつつある」と分析しています。実際の日本経済も、数字の上では28年ぶりとなる、7四半期連続のプラス成長を遂げていますし、それを受け安倍首相は、「我が国はデフレ脱却への道筋を確実に進んでいる」と5年間のアベノミクスの成果を強調し、経済界に対して3%の賃上げを行うよう呼びかけました。本市は、この好機を地域経済の活性化に向けて、最大限に活かしていかなければなりません。
 これまでも本市は、地方創生の旗印の下に策定された総合戦略において様々な取組を遂行してきました。それらの成果も着々と出てきています。その一つが、昨年47年ぶりに、本市への転入者が本市からの転出者を上回る、いわゆる人口の社会増に転じたことです。また歳入面では、一例として、市税収納率の改善を挙げることができます。より高い目標に向けた地道な取組が実を結んで、毎年度、着実にその率を伸ばしており、これと連動するように、未収金残高は減少を続けています。これらの成果は、財政規律の堅持、さらには必要な投資額の確保にもつながるものとなります。
 以上の考え方とこれまでの成果の下、来年度も、3次総のあらゆる政策手段を総動員していきます。現況の良い流れを継続し、市民の皆さんが、まちの変化と景気の回復を実感できる年にしていきます。
 その観点から、世界水準の都市づくりを目指す<5大構想>に関連するプロジェクトに対しては、特に予算を重点配分し、主な事業だけで約33億円を確保しました。

平成30年度の主要事業について

 次に、3次総のうち<5大構想>をはじめとした重点プロジェクトを 中心に、平成30年度の主要事業の新規ならびに拡充する取組について 説明申し上げます。

重点プロジェクト1:悠久の歴史を誇りとして活かした風格のあるまちづくりの推進

 一つ目は、<5大構想>の≪歴史文化の拠点づくり≫が先導する 【歴史】をキーワードにしたまちづくりの取組についてです。
 駿府城公園地区では、本市が誇る悠久の歴史を感じさせ、その求心力に人々が集う交流の場とするとともに、中心市街地の回遊性をさらに向上 させる拠点とするべく、官民が連携して整備を進めていきます。
 まず、天守台の発掘調査についてです。全国で初めて城郭の天守台全体の構造が明らかになる本調査には、この2年間で海外からを含む12万人を超える見学者が来場しました。3年目となる本年は、天守台石垣の四角形の最後の一辺を掘り進めることで、全体が姿を現します。引き続き、 本物の歴史が持つ素晴らしさを積極的にPRしていきます。
 次に、歴史文化施設の整備については、ルーブル美術館ランス別館などを手掛けた世界的な建築家、妹島和世氏率いるSANAA事務所が建築設計者に決定し、いよいよ目に見える形で動き出します。2021年の開館に向け、機運を高めつつ、市民の誇りとなりうる魅力的な施設を整備していきます。さらに隣地には、歴史文化施設のイメージと調和した風格ある民間施設の誘致を目指すため、有識者懇話会を設置し、検討を進めていきます。
 また、来年、本市ゆかりの戦国武将、今川義元公の生誕500年の節目を迎えるにあたり、そこにつなげるためのプレ事業を実施していきます。
 次に、市民文化会館の再整備については、アリーナとホールの複合化を念頭に、本市の文化・スポーツの中心施設として、整備方針を策定します。
 次に、お堀の水辺空間の活用に向けては、中堀に葵舟を浮かべ、石垣や巽櫓、坤櫓を水面から見上げられる貴重な体験を提供します。さらに、静鉄新静岡セノバを中心とした商業エリアから中堀につながる市道追手町音羽町線に、お堀の水辺を間近に感じられるデッキの整備を進めます。
 一方、歴史文化施設の整備をはじめ、静岡都心を核とした歴史文化の拠点づくりを推進するための組織体制の強化として、これらの取組の中心的な役割を担う観光交流文化局に「歴史文化拠点推進監」を配置します。
 次は、蒲原から丸子まで6つの宿場町を結ぶ東海道歴史街道地区です。この地区では、古くから東西交通の要衝として、数々の街道文化が根を下ろしてきました。これらの地域資源を活用した本市ならではの街道観光を確立するため、「駿河 東海道おんぱく」への取組を通じた地域の住民が主体となった、その土地の魅力を体験できる観光プログラムの開発や、 来訪者が東海道の各宿場町を回遊したくなるような周遊ツールの造成に より、観光誘客を促進し、地域が“稼ぐ”観光の仕組みづくりを進めます。
 また、来年2月に本市で開催する「全国街道交流会議 第12回全国大会しずおか大会」を見据え、観光案内看板の設置や来訪者をおもてなし する人材の育成などの受入環境を整備するとともに、新しい街道観光ブランドを東海道から創出し、国内外に情報発信をしていきます。
 次に、三保半島地区では、歴史的・文化的価値を守りながら、景観を 活かした風格のあるまちづくりを、県と連携して進めていきます。
 まず、松原の保全については、防除対策の効果が現れているマツ材線虫病によるマツ枯れ被害対策をさらに進め、薬剤に頼らない管理の実現に向けて取り組みます。また、老齢大木の長寿命化に向けた土壌改良と景観に配慮した安全対策を講じるほか、松原再生のための公有地化を進めます。
来訪者の受入施設については、三保松原の持つ文化的価値を国内外に 発信し、それを未来永劫に守るための拠点としての機能も併せ持つ 「(仮称)三保松原ビジターセンター」を、来年春にオープンします。
 また、施設の整備と合わせて羽衣公園の拡張を進めるとともに、都市 計画道路清水港三保線、羽衣海岸線、そして日常生活の利用はもとより、訪れる観光客が安全で快適に回遊できる自転車走行空間など都市基盤の 整備も推進していきます。

重点プロジェクト2:人々が訪れてみたいと憧れを抱く個性あるまちづくりの推進

 二つ目は、<5大構想>としての≪教育文化の拠点づくり≫ ≪海洋文化の拠点づくり≫ ≪「まちは劇場」の推進≫をはじめとした【文化】をキーワードにしたまちづくりの取組です。
 まず、教育文化の拠点としての草薙・東静岡エリアについてです。
 草薙地区では、常葉大学の新キャンパス誕生に合わせ、国道1号と  JR草薙駅を結ぶ道路や北口駅前広場の整備を進めるとともに、南口駅前 広場についても来年度の完成を目指します。さらに、国道1号のより安全な横断方法の検討を行うほか、産学官民が連携したまちづくり組織への 支援を継続して行うなど、草薙ブランドを一層高めていきます。
 東静岡地区では、昨年5月にグランドオープンした「アート&スポーツ/ヒロバ」において、引き続き、全国規模のスケートボード大会の誘致や、屋外アートイベントの開催に向けて官民連携して取り組んでいきます。
 次に、海洋文化の拠点としての清水港エリアについてです。
 日の出地区では、海洋と地球をテーマとする総合ミュージアムの整備に向け、建設用地の確保や事業手法の検討を進めるとともに、東海大学や 海洋研究開発機構(JAMSTEC)などと引き続き連携して、具体的な展示 コンテンツの検討を深めていきます。
 江尻地区では、港を訪れる人々の交流拠点となる「みなとオアシス」を設置するほか、清水港線跡遊歩道では、臨港道路高架橋()島崎町交差点改良を進めます。また、新清水庁舎については、2022年度の供用開始を目指し、予定地の地盤調査などを行うとともに、本年度中に策定する基本構想を基に、フロア構成や事業手法などを定める基本計画をまとめます。
新興津地区では、ワークショップなどによる地域の皆さんとの議論を経て、「(仮称)興津ビーチパーク」の実現を通じて、海洋レクリエーションの拠点を目指します。まず、待望久しい海づり公園の建設工事に着手し、さらに、国・県との連携の下で人工海浜や緑地の整備を進めていきます。
 また、日本平から望む清水の夜景は、日本夜景遺産に登録される美しさを誇ります。港と共に発展してきた清水ならではの夜の風景を光で演出し、ロマンチックな風情溢れる港町の水辺の魅力を高めていきます。
 一方、これまで複数の局が関わってきた清水都心のまちづくりを、清水港を中心に一体的に進めるため、経済局に「海洋文化都市統括監」を配置して「海洋文化都市推進本部」を新設することによって、海洋文化の拠点づくりをより一層強力に推し進めていきます。
 さらに、県、民間事業者・地権者と連携して「清水みなとまちづくり公民連携協議会」を設立し、ウォーターフロント開発を具体化していきます。
 次は、≪「まちは劇場」の推進≫についてです。
 芸術文化の持つ創造性を地域経済の活性化に結び付けるため、まち全体が劇場のように華やかで活気に溢れ、これが“いつもの日常”となるよう、青葉シンボルロードなどの公共空間に大道芸や演劇、音楽などパフォーミングアーツを行うスペースを創出し、新たな賑わいを生み出していきます。また、静岡市文化・クリエイティブ産業振興センター(CCC:the Center for Creative Communications)では、クリエイターと地域が協働し、七間町ハプニングなどの事業を行い、活気あるまちづくりを進めていきます。このほか、「まちは劇場」の“わくわくドキドキ”をプロデュースしていく人材育成や、文化クリエイティブ活動への支援を強化します。
 一方、「まちは劇場」の掛け声の下、関連の政策を総合的に推進するため、中心的な役割を担う観光交流文化局に「まちは劇場推進監」を配置し「まちは劇場推進課」を新設することにより、体制を強化していきます。
次は、オクシズ・しずまえの振興についてです。
 オクシズ(中山間地域)では、地域おこし協力隊を新たに2名配置し、首都圏や中京圏でのプロモーション活動を強化するとともに、地域の暮らしを支える機能が集約された“賑わいの拠点”づくりを推進していきます。
しずまえ(沿岸地域)では、そのイメージの定着を図るとともに、桜えび・しらすを筆頭とするしずまえ鮮魚のブランド化を目指し、本市の豊かな魚食文化を発信していきます。さらに、オクシズ・しずまえ特別テレビ番組を制作し、その中で双方のコラボレーション商品を開発します。

重点プロジェクト3:世界中から多くの人が集まる求心力の高いまちづくりの推進

 三つ目は、本市の県都圏としての【中枢】性に着目した取組です。ここに掲げる政策・施策については、特に移住による定住人口の拡大に加えて、交流人口の拡大にも力を注ぐことにより、総合的な人口活力の維持を通じた地域経済の活性化を企図していきます。
 まず、定住人口の拡大についてです。これには息の長い地道な取組の積み重ねが求められます。本市は、平成27年に全国の市町村のトップを 切って東京有楽町に移住支援センターを設置し、昨年から清水区でお試し住宅を始めるなど移住の受入体制を充実させてきました。その結果、センター経由の移住者が100人を超えるなど短期間で大きな成果を収めました。この勢いに乗り、静岡暮らしを具体的にイメージできる情報を首都圏向けにさらに強力に発信するほか、「仕事は変えずに住まいは静岡市へ」を キーワードに首都圏テレワーカーの移住にも積極的に取り組んでいきます。
 一方、人口流出が顕著な若年層に対しては、静岡商工会議所と連携し、若者就活応援サイト「しずまっち」や地元企業との交流会、高校生のキャリア形成に向けたワークショップなどを通じて地元企業への関心を高めることで、地元就職・UIJターン就職を促していきます。また、本市への 定住を条件とする返還免除制度のある育英奨学金事業について、ニーズに合わせて募集時期をさらに早めるなど、より使いやすい制度に改めます。
 このほかの移住定住の促進につながる取組として、空き家改修に際して、市街地における子育て世帯などに対する上乗せ補助の新設や、オクシズ 地域における補助対象区域の拡大などを図っていきます。
 次は、交流人口の拡大についてです。目下の最大の課題は、しずおか中部連携中枢都市圏の5市2町が、観光の目的地として十分に認知されていないことです。そこで、昨年発足した地域連携DMOである、するが企画観光局のマーケティングに基づき“学び・お茶・海(Learn,Tea,Sea)”をブランドコンセプトと位置づけ、学びにつながる体験型商品や、お茶や海を活かした商品の開発に官民一体で取り組むほか、首都圏のファミリー層に向けて、宿泊予約サイトを活用したプロモーションを仕掛け、観光目的地としての魅力と認知度を向上させ、観光を通じた地域の“稼ぐ力”の拡大を図っていきます。一方、JRグループ6社や自治体、観光事業者が協働で全国展開する大型観光企画「デスティネーションキャンペーン」が、2020年までの3か年に渡り本県で開催されます。これは5市2町にとっても追い風となるものであり、まずは本市独自の旅行商品を開発し、それを広く発信するとともに、官民連携してキャンペーンを盛り上げていきます。
 さらに、首都圏においては、5市2町の魅力を発信する拠点として、地場産品の販売や軽飲食の提供を行うアンテナショップの開設を目指します。
 また、海外とは「2019年ラグビーW杯大会」や「2020年東京オリン ピック・パラリンピック競技大会」を契機に、スポーツによる交流を図っていきます。その皮切りとして昨年、台湾陸上協会及びスペインバドミントン連盟と合宿受入れに関する覚書の締結を成就させましたので、合宿を通じて、市民交流はもとより、文化・経済などの交流を深めていきます。
 さらに、増加する訪日外国人観光客の誘致拡大に向けては、重点市場としている台湾、韓国、タイへの継続的な情報発信のほか、MICE誘致をさらに強力に推進するため、市内大学などとの連携強化に努めていきます。 加えて、将来のリピーターとして期待される訪日教育旅行の誘致拡大に 向けては、静岡市国際交流協会と連携して新たにホームステイの受入体制を構築し、ニーズが高い台湾を中心にPRをしていきます。
戦略産業への支援・育成については、地域未来投資促進法に基づく地域基本計画を活用し、本市の経済を牽引する企業の事業拡大や設備投資を集中的に支援するとともに、市街化調整区域においても、企業のニーズを踏まえ、立地を進めていきます。また、戦略産業のうち海洋・エネルギー産業では、静岡市海洋産業クラスター協議会を中心とした9件の事業化研究プロジェクトを推進し、その成果を新たな海洋産業の創出につなげていきます。このほか食品・ヘルスケア産業では、海外に販路を持つバイヤーとの商談会の開催や国際食品見本市である「FOOD TAIPEI」への出展により、地元企業の販路開拓を支援していきます。

重点プロジェクト4:市民が住み慣れた地域で暮らし続けられるまちづくりの推進

 四つ目は、市民の【健康】に着目した取組であり、<5大構想>の一つである≪「健康長寿のまち」の推進≫についてです。
 「自宅でずっと」プロジェクトによる静岡型地域包括ケアシステムの 構築と“健康長寿世界一の都市”の実現を目指す、健康長寿のまちづくり計画に基づき、具体的施策を推し進めていきます。
 まず、新たに8つの小学校区での在宅医療・介護の連携強化や、認知症の方々の徘徊を想定した訓練などにより、小学校区程度の身近な地域での支援体制の構築を加速させます。日常生活圏域についても、これまでの 25圏域を30圏域に見直し、新たに5つの地域包括支援センターを増設します。また、新規事業として、末期がんの方が介護保険認定を待つ間、 自宅で安心して生活していただけるよう、介護費用の一部を助成します。
 次に、「生涯活躍のまち静岡(CCRC: Continuing Care Retirement Community)」については、二つのモデル地区において、健康長寿のまちづくりに取り組みます。葵区中心市街地の「葵おまち地区」では、秋に オープンする再開発ビル「札の辻クロス」を交流拠点に位置付け、シニア向けのお試し居住による移住支援を推進するとともに、商店街や大学などと連携した健康プログラムを実施し、大人が楽しめるおまち暮らしを提案します。一方、駿河区役所周辺の「駿河共生地区」では、南部図書館2階にオープンする地域福祉共生センターを拠点に、ボランティア活動の支援など地域福祉の充実や地域・多世代の交流を促進させるとともに、産学官民が連携した取組により健康長寿の先進的なまちづくりを進め、駿河地域モデルとして情報発信していきます。
 次に、これまで3か年に渡って好評を博している「元気いきいき! シニアサポーター事業」では、ポイント付与の対象を拡大し、シニア世代の活躍の場をさらに拡げます。また、希望する高齢者が生涯現役で働き活躍することができるよう、国や県、経済界、福祉団体などの関係者が一体となって、連携体制の構築や、新たな就労の場の検討に取り組んでいきます。
 一方、子ども・子育て支援については「子育てしやすいまち」はもとより、それを深化させた「子どもが良く育つまち」の推進に努めていきます。
まず出産期では、新たに産婦健診の助成を開始し、産後間もない母親のうつの早期発見・対応や、新生児への虐待防止などの支援強化を図ります。
 次に幼児期では、待機児童の解消に向け、保育定員を約300人分拡大します。また、発達が気になる子の早期支援体制を構築するため、1歳半健診からつなぐ親子教室「あそびのひろば」を各区に拡大し、その後のフォロー教室も各区で新たに実施するなど、必要な支援につなげていきます。
学童期では、放課後児童クラブの定員を約600人分拡大するほか、11校に放課後子ども教室を新設し、放課後子ども対策を一層強化していきます。
 一方、子どもの貧困対策については、学習支援の場を4か所新設し、 さらに対象を高校生まで拡げるほか、スクールソーシャルワーカーの活動をこども園や中学校卒業後まで拡大し、切れ目のない支援をしていきます。
学校教育については、静岡型小中一貫教育の9年間の中で、地域社会や国際社会で活躍する“グローカル”人材の育成を目指し、海外経験があり英語が堪能な地域の方々を「グローカル・イングリッシュ・ティーチャー(略称GET:Glocal English Teacher)」として配置するとともに、本市の歴史や文化などを学ぶ「しずおか学」の展開では、郷土への愛着や誇りが自然と育まれるような内容の副読本を作成していきます。
 次に、中学校の部活動については、全国でもいち早く、活動日のあり方や外部人材の活用を盛り込んだガイドラインを策定しました。これに基づき、ライセンスを付与した競技経験豊かな外部顧問を学校に配置するほか、海外からスポーツ国際交流員を招聘し、効果的・効率的な指導方法を構築することにより、部活動を生徒にとって一層有意義なものにしていきます。
 次に、学校給食については、門屋学校給食センターを4月から供用開始し、清水区の校外調理方式解消に備えていくとともに、「静岡ならではの献立」を開発して「第13回全国学校給食甲子園」に挑戦するなど日本一おいしい学校給食の提供を目指していきます。
 一方、学校施設面については、トイレリフレッシュを重点的に進めるほか、長年の懸案であった夏場の暑さ対策として、普通教室へのエアコン 設置の事業手法などの調査を行い、快適な教育環境へと改善していきます。
最後は、健康都市を支える基盤づくりについてです。健康やスポーツに対する市民の関心の高まりを受け、快適で暮らしやすくワーク・ライフ・バランスに優れた都市環境を整備していきます。
 まず、中央体育館の敷地の一角に「駿府城ラン・アンド・リフレッシュステーション」を設置して、5月から供用開始します。ランニングや  ウォーキング、レクリエーションなどに親しむ運動拠点の提供を通じて、市民の皆さんの心身の健康の増進や、スポーツを通じた交流を促すとともに、駿府城公園周辺の賑わいを創出します。
自転車を通じたまちづくりにも引き続き注力していきます。昨年、自転車先進都市であるデンマークのコペンハーゲン市を視察し、自転車マナーの徹底には、幼児期からの教育が最も大切であることなどを学び、早速、キックバイクを活用した自転車安全教育の導入を決めました。さらに、12月に開催する、本市初の誘致に成功した「KEIRINグランプリ」に合わせ、そのPRの場ともなる体験型イベント「サイクルフェス」を開催します。
 このような施策により、「自転車先進都市しずおか」としての都市  イメージをさらに高めるとともに、安全で快適かつ連続性のある自転車 走行空間を、市内各所で精力的に整備していきます。
 

重点プロジェクト5:様々な危機に備えた減災力が高い安心・安全なまちづくりの推進

 五つ目は、【防災】をキーワードにした取組です。
 まず、災害対応力の強化と危機管理体制の確立を進めていきます。
南海トラフ巨大地震などに備える防災対策については、津波避難が困難な地域の解消に向けて整備してきた津波避難タワーなど19か所の建設が、来年度で全て完了する見込みとなりました。引き続き、津波避難ビルの 追加指定など津波対策のさらなる充実を図ります。
 さらに、静岡海岸に面する駿河区高松地区の浜川河口護岸の耐震・嵩上げ工事を進めるほか、用宗漁港においては、津波から近隣住民の皆さんの生命財産を守るため、胸壁の整備を実施します。
一方、道路においては、速やかな避難や救命救急、物資支援、復旧復興活動などの機能を果たせるよう、緊急輸送路や避難路の拡幅整備、橋梁の耐震化や補修、無電柱化及び道路規制情報の発信などに取り組みます。
 このほか、9月には県と共同して総合防災訓練を実施し、自助・共助・公助による災害対応力の強化に努めていきます。
 次に、消防力の強化については、井川地区の消防サービスの拡充のため、現行の職員6名体制から、新たに2名を配置し8名体制とします。また、消防団では、若者の入団を促進するとともに、新たに、災害対応に特化した団員の導入の検討を進め、地域防災力の充実強化を図っていきます。
 次は、集中豪雨や台風などの風水害や土砂崩れへの備えについてです。
 まず、浸水対策では、清水区高橋地区の雨水ポンプ場の整備、馬走地区の谷津沢川の改修、及び折戸地区や駿河区広野地区の雨水幹線の築造などを着実に進めます。また、水防災意識を高め洪水被害を軽減させるため、市民目線に立ったより分かりやすい新たな洪水ハザードマップの作成や、防災体制の整備などを、国・県と連携して進めていきます。
一方、土砂災害対策では、急傾斜地崩壊危険区域の指定に必要な測量の実施、土砂災害警戒区域の指定促進、土砂災害防止のための施設設置に対する助成による既成宅地の安全度向上を図るほか、道路や公園の法面対策を実施します。さらに、福祉施設などの避難計画の整備や土砂災害区域の避難訓練支援を行い、市民の安心・安全の向上を図っていきます。
 次に、再生可能エネルギーの導入ならびに普及の促進についてです。
 本市は、これまでもエネルギーの地産地消事業により、電力の切替えや蓄電池設置などの基盤整備に取り組んできました。今後は企業と連携し、IoT技術を活用した再生可能エネルギーの有効利用を進めていきます。
 また、次世代エネルギーとして期待される水素では、燃料電池自動車を保有する企業と連携し、普及啓発活動を行うとともに、自動車から外部 給電ができるという特性を活かし、防災訓練や災害時における避難所での活用など、災害対応力の強化も図っていきます。
 

重点プロジェクト6:あらゆる人々が多様性を尊重し共に暮らすまちづくりの推進

 六つ目は、性別や障がいの有無さらには国籍の違いを認め合い、多種 多様な人と人との、ならびに人と自然との【共生】に着目した取組です。
 まず、男女共同参画社会の実現に向けては、「しずおか女子きらっ☆ プロジェクト」の下、女性のキャリア形成とネットワーク化を目指して異業種交流会を開催します。さらに首都圏を中心に、こうした取組を発信し、「女性が活躍できるまち静岡市」を印象付けていきます。
 次に、多文化共生社会の実現に向けては、小・中学校で生の英語に触れる貴重な機会として、イングリッシュカフェの拡充や、あいさつなど授業以外でも英語を話す日・イングリッシュデイの設定などを通じて、子どもたちの英語を活用したコミュニケーション能力の向上を図るとともに、 異なった文化に対する理解を深めていく活動を進めます。
次に、バリアフリー社会の実現に向けては、日常生活における移動が 困難な障がいのある方々や高齢者など、いわゆる交通弱者の外出機会を 増やすため、清水区の駒越地区、駿河区の長田西地区において、引き続き地域の皆さんの協力の下、自家用車で地域を周回し、既存の公共交通に 結ぶ取組を実施していきます。
 このほか、生涯活躍のまち静岡(CCRC)駿河共生地区の富士見エリアに、民間活力を導入して児童発達支援センターを整備し、子育て支援センターや待機児童園などと共に、福祉・子育ての拠点機能を高めていきます。
人と自然との共生については、南アルプス周辺で、希少動植物の保護活動や登山道の整備を引き続き行うほか、井川地区では、川根本町との連携による南アルプスあぷとラインを活かしたプロモーションや、南アルプスユネスコエコパーク井川自然の家を拠点としたトレイルランニングの中級コースの整備を進めます。
 このほか、リニア中央新幹線建設工事では、南アルプスの貴重な自然環境を将来に引き継ぐため、「自然と人間社会との共生」というユネスコ エコパークの理念の下、環境保全と地域振興の両立が図られるよう、地元や市議会、県などと連携し、事業者と協議していきます。特に、環境保全に関しては、発生土の処理や大井川の流量減少に対する不安の払しょくを、また、地域振興に関しては、井川地区の皆さんの悲願である道路整備を はじめとした地域の活性化につながる取組を、事業者に求めていきます。
 一方、市街地に近い麻機遊水地地区では、自然再生・保全のための イベントを開催するほか、自然と触れ合う体験型親水都市公園としての あさはた緑地を整備します。
 最後は、地域に貢献するシチズンシップに富んだ人づくりについてです。
「まちづくりは人づくり」 積極的にまちづくりに関わろうとするシチズンシップに富んだ市民が多ければ多いほど、まちは良くなるというのが私の信念です。一昨年、本市の人材養成事業を一つに取りまとめ、私が学長を務める「静岡シチズンカレッジ こ・こ・に」の修了生が、現在、各地域で様々な活動に取り組んでいます。代表的な活動には、清水区両河内地区で「ココバス」の愛称で新たなスタートを切る自主運行バスや、オクシズ地域でのサポート活動などがあり、着実にその成果が上がっています。
 そこで、3年目を迎える「静岡シチズンカレッジ こ・こ・に」では、成年後見制度の担い手を育てる「市民後見人養成講座」を新たに加え、 18講座450人規模で実施していきます。さらに、修了生やNPOの活動情報などを分かりやすく提供するウェブサイト「市民活動支援システム」を 開設し、修了生や市民の皆さんが積極的に地域活動に参加できる仕組みを構築します。
 また、人生100年時代を迎え、若者だけではなく、様々な年代における学びの需要が増えてきている現況を踏まえ、新たに設置する「高等教育のあり方検討会」の場で、将来のまちづくりを担う人材育成について、 多様な視点から議論を深めていきます。
 人材を育てる基盤ともなる生涯学習施設については、三保生涯学習交流館を、児童館との複合施設として9月の供用開始を目指して整備していきます。さらに、飯田生涯学習交流館の建替え、辻生涯学習交流館の耐震 補強、玉川生涯学習交流館の大規模改修の設計にそれぞれ着手します。
 

重点プロジェクトを支える社会基盤:持続可能で強靭な国土と質の高いインフラの整備

 さて、これまで述べた<5大構想>そして6つの重点プロジェクトの 政策群を推進する礎には、強靭な社会基盤の支えが欠かせません。そこで、平成30年度に取り組む主なインフラ整備事業について申し加えます。
 まず、葵区中心市街地については、歩いて楽しいまちづくりとして、 呉服町通り線の紺屋町地区における歩行者の安全と回遊性を高めるため、車両通行規制の時間帯の拡大を目指し、賑わいと憩いの歩行者空間を整備します。さらに、これと並行して、江川町交差点のさらなる平面横断化に向け具体的な検討を進めていきます。
 次に、駿河区大谷・小鹿周辺については、何よりも東名新インターチェンジの一日も早い開設に向けて工事を進めます。東名北側の恩田原・片山地区では、土地区画整理組合と共に基盤整備を行い、産業集積方針に則り早期の企業立地を目指します。一方、南側の宮川地区では、早期事業化に向けた検討を継続し、地区のグランドデザインの実現を目指していきます。
 次に、公園については、まず名勝・日本平を、その歴史的・文化的価値や富士山の眺望を活かした観光拠点とするべく、この秋の完成を目指して、県と連携し、山頂部の展望施設を整備します。
このほか、市民の皆さんの日常の憩いの場としての街区公園や、安倍川緑地の整備なども進めていきます。
 次に、道路の整備についてです。来年度には、中部横断自動車道の県内区間開通と、国道1号静清バイパスの全区間4車線化が見込まれます。 これら広域的道路網を、地域産業や観光交流、物流の活性化に最大限活用するため、清水立体の事業を促進するとともに、高速道路にアクセスする清水富士宮線や井川湖御幸線、清水港や観光拠点のアクセス道となる  国道150号など、ストック効果の高い道路の整備を着実に進めます。
 一方、高度経済成長期に集中的に整備され、今後急速な老朽化が見込まれるトンネルや橋梁などの施設については、維持管理・更新を戦略的に 行うことで長寿命化を図り、確実な道路ネットワークを構築していきます。
 次に、上下水道事業についてです。上水道では、渇水対策としての水の相互運用事業「北部ルート」の完成を目指し、下水道では、葵区羽鳥地区、駿河区大谷地区、清水区興津地区で汚水管きょを整備します。さらに、 上下水道共に、老朽化した()・施設の改築や耐震化などを進めていきます。
 次に、清掃施設についてです。効率的かつ安定的な廃棄物処理体制を 確保するため、稼働開始から22年が経過し、主要な設備の老朽化が進む沼上清掃工場の長寿命化に向け、基幹的設備の改修を進めていきます。
 
 以上、当初予算案の重点事業に位置付けた<5大構想>をはじめ、3次総に登載された主要事業の大要を申し上げました。

今後の市政運営について

 政策・施策の取組の加速化に向けては、時間やマンパワーの制約の中で、最大限の効果を生み出していくことが求められます。こうした見地から、今後の市政運営にあたり特に留意すべき3点を、最後に申し述べます。
 
 1点目は、情報発信力の強化です。市内外の双方に向けて、様々な事業主体と連携し、アイデアに満ちた情報発信を図っていきます。
 たとえば、昨年初めて開催して好評価を得た、首都圏のメディアや旅行業関係者などを対象に本市のワールドクラスの魅力を伝える「静岡市 世界に輝くプレゼンテーション」を、さらにグレードアップして実施します。
 このほか、冒頭で申し上げたSDGsの推進に向け、これを市民レベルで理解していただくことを目的に、「東京ガールズコレクション(TGC)」を開催します。日本のガールズカルチャーを世界に発信し、若者からも 絶大な支持を集めるこのファッションショーを核として、時期を定め、 集中的に、様々な関係者とともに、SDGsの普及啓発に取り組みます。
 また、昨年度「『清水のまちなか』が変わる!」をテーマに、タウン ミーティングを開催しましたが、来年度は、葵区と駿河区においても同様の機会を持ち、まちづくりについて市民の皆さんと共に考えていきます。
 2点目は、広域連携の推進です。全国から注目されている、しずおか中部連携中枢都市圏の取組をさらに加速します。圏域内のイベント情報紙を新たに発行するとともに、静岡市立図書館の本の貸出し対象を4市2町の住民にも拡げます。このほか、サイクルツーリズムの推進により、圏域内の交流はもちろんのこと、圏域外からの来訪も活発化させます。これらの取組を通して、本市をはじめ島田市・焼津市・藤枝市・牧之原市そして 吉田町・川根本町の経済圏全体のウィンウィンの関係を構築し、7つの 自治体間の連携を強化することで、圏域全体の人口活力を維持し、経済 成長につなげ、一体的な発展を目指していきます。
 最後に3点目は、働き方改革の推進です。まず市内企業への支援については、これまでのセミナーの開催などを通じた普及・啓発に加え、企業の意識改革や労働生産性を高める仕組みづくりを進めます。また、“静岡市から働き方を変えよう”と官民で取り組むプレミアムフライデーのさらなる定着と拡大を図り、「豊かな静岡暮らし」の実現を目指していきます。
 一方、本市職員については、育児や介護などで時間的制約が増す中、 柔軟な働き方を確保しつつ生産性の向上を図るため、将来の在宅勤務制度の導入を見据え、テレビ会議システムの実証実験などを行います。また、本市の教職員についても、限られた時間の中で教育の質を高め、子どもの資質・能力の向上を図るため、意識改革とともに、長時間労働の是正や 勤務環境の改善などを通じて、多忙化解消を進めていきます。

むすびに

 建国記念の日に開幕した「徳川記念世界囲碁まつりイン静岡」は、お蔭様で世界13か国からの多くの参加者を得て、盛況裏に幕を閉じました。この催しは徳川家康公が、戦国時代を終わらせて、我が国に約250年間の平和をもたらした偉業に学ぶ「徳川家康公顕彰400年記念事業」を継承するイベントでした。あれから3年、本年は、明治時代が始まり150年目の節目の年にあたります。まさに「彰往考來」。維新以来の来し方を冷静に振り返り、ポスト平成時代の行く末を熱く語り合う一年にしたいものです。
 明治維新に大きな勲功のあった“維新の三傑”と称される木戸孝允公・大久保利通公・西郷隆盛公には共通して、人の上に立つ者に求められる、3つの要件が備わっていたといわれます。その3つとは、第一に大局観、世界の趨勢を大きく見通し物事を考える見識があったこと。第二に胆力、どんな困難にあっても動じない精神の強さがあったこと。そして第三には
忠恕の心、分け隔てなく真心で人々を思いやる優しさがあったことです。
 19世紀後半、国難に直面した厳しい時代を生き抜いたからこそ、鍛えられ培われた指導者の要件であるならば、150年後の21世紀前半、今後の静岡市政をリードすべき我々にとっても、彼らの為政者としての生き様からは、多くの学びを得ることができるはずです。
 中でも本年のNHK大河ドラマ主人公・西郷隆盛公の生涯は、僅か50年という短いものでしたが、その「敬天愛人」を貫いた生き方は、我々が、今後の日々を歩んでいく心構えとして、多くの人世訓を教えてくれます。隆盛公の人生は、挫折の連続でした。働き盛りの30代の前半には、2度の遠島処分を命じられ不遇の時代を過ごしました。しかしながらその時期こそ、彼のリーダーとしての資質が磨かれました。奄美群島の沖永良部島に流された逆境を、彼はむしろ自己研鑽に励む濃密な時間にあてたのです。江戸末期の儒学者・佐藤一斎翁が著した「言志四録」を暗誦するまで熟読し、気に入った101条を選んで「南洲手抄言志録」を編み、その後の人生の行動指針、拠り所にしました。むすびに、その中の一条を紹介します。
『 晦に処る者は能く顕を見、顕に拠る者は晦を見ず 』
(暗い場所にいる者は、明るい所にいる者をよく見ることができる。しかし、明るい場所にいる者は、暗い所にいる者を見ることができない。)
 私自身、隆盛公が大切にしたこの一節に学び、自戒の言葉にしたいと 思います。今日もなお、日の当たらない場所で、歯を食いしばって暮らす、市井の人々の思いに寄り添い、その皆さんにとって希望の光になるような市政を、市職員と共に真摯に進めていこうと、決意を新たにしています。
 
 以上、平成30年度の施政方針を申し上げました。議員各位をはじめ、広く市民の皆さんの一層のご理解、ご協力を重ねてお願い申し上げます。

PDF版(全文)

Get Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、以下のページからダウンロードしてください。

Adobe Reader ダウンロードページ (新規ウィンドウ表示)

本ページに関するアンケート

このページは使いやすかったですか?

本ページに関するお問い合わせ先

総務局 広報課 報道広報係

所在地:静岡庁舎新館8階

電話:054-221-1021

ファクス:054-252-2675

お問い合わせフォーム