耐震補強工事の概要 印刷用ページ

最終更新日:
2015年3月26日

1 阪神淡路大震災被害状況

 1995年1月17日、阪神・淡路地方を襲った直下型地震は、住宅をはじめとする多くの建物・道路・鉄道などのインフラに甚大な被害を与え、7000を超える人命を奪いました。
 この震災の記憶を私たちは、強く心にとどめると共に、尊い犠牲をはらって得た教訓として生かさなければなければなりません。
 建物の被害は木造住宅だけにとどまらず、鉄骨造、鉄筋コンクリート造のビルディングにもおよびました。
 木造住宅では、耐震性が考慮されずに設計・施工されたもの(例えば筋交いの不足・配置の不備など)や、維持・保全がきちんとされていなかったものの被害が目立ちました。
 鉄骨造では、柱-梁接合部の溶接不良による接合部の破壊が多いことがわかっています。また筋交い(ブレース)の破壊(座屈や破断)によって建物に変形が生じ、外壁仕上げ材の落下が起こりました。
 鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造では竣工年代が新耐震設計法施行以前の建物が多く被害を受けたといわれています。壁(耐震壁)のないピロティ(柱と2階床で構成された部分)の柱の破壊によって、1階部分が崩壊したり、壁の配置に偏りがある建物が1階で崩壊、転倒したり、中間階が崩壊した例が数多くみられました。

 

2 耐震補強の手順(工事完了まで)

(1) 設計図書の収集、現況の経年変化の調査

 最初に対象建築物の設計資料を集め、経年変化(亀裂・変形等)の老朽化の調査・設計図書との照合を行います。

 

(2) 現況の耐震性能の計算

 現況建物の耐震診断を綿密に行い現況での耐震性能を正確に把握します。

 

(3) 補強計画の立案

 機能面を考慮しながら、静岡県の定める耐震性能を満足するような補強計画の立案を行います。

 

(4) 補強計画案の検討

 補強計画について機能面も含め関係者が綿密な検討を行います。

 

(5) 評定会による耐震性能の確認

 補強計画案は評定会(静岡県建築士事務所協会)に提出され、適切な補強計画となる様、詳細な検討が加えられ、最終判定及び計画決定が行われます。

 

(6) 補強設計

 決定された補強計画に基づいて、工事を行うための補強設計を行います。

 

(7) 工事着手・施工準備・補強工事

 請負契約後、施工計画を立て、資材・機材の搬入、搬出計画及び障害物の撤去等、施工準備を行ったあと補強工事に着手します。

 

(8) 工事完了

 以上の手順を経て、耐震補強は完了します。

 

3 施工方法(鉄筋コンクリート耐震壁)

(1) 補 強 前

 建築物は柱と梁がどんなに強度があっても、水平方向に力が加わると脆い性質があります。そこで、水平方向(縦・横の2方向)の力に耐える壁=耐震壁をつくります。  建物のどこの位置に設置しても良い訳ではなく、配置にバランスが必要とされます。

 

(2) 解体完了

 耐震壁となる壁には、適度な厚みと鉄筋量を必要とします。  そこでまず既存の壁を解体します。  その後地震力の成分を柱と梁に分散できるように樹脂アンカー(鉄筋をコンクリートに彫り込み接着剤で固定します)を打ち込みます。

 

(3) 補強壁設置

 樹脂アンカーに鉄筋を絡めて配筋し、型枠を組立てた後、コンクリートを流し込み壁を厚くします。  この際、コンクリートを流し込みやすい柔らかさに変える薬剤(流動化剤)を混入します。

 

(4)完 成

 ここまでで躯(=からだ)の部分の補強が終わりました。  あとは仕上げ(=衣服)を着ければ工事は完成です。

 

4 施工方法(鉄骨ブレース)

(1) 補 強 前

 鉄筋コンクリートで耐震壁を増設する以外にも、鉄骨で筋交いを入れる方法もあります。  開口部があまり狭くならないので、壁を設ける場合と比較して居住環境への影響が少ないという利点があります。

 

(2) 解体完了

 既存の壁を解体し、樹脂アンカーを打ち込むのは耐震壁の場合と同じです。  新たに設ける鉄骨製の筋違いには、柱・梁に面する部分にスタッド(鋲)を工場加工にて取り付けておき、樹脂アンカーとスタッドとの間は螺旋状の鉄筋を用いて絡めます。

 

(3) 補強壁設置

 筋違いの周囲は、鉄骨と柱・梁が近接している狭い空間に、さらにスタッド・鉄筋等が密集しているため、コンクリートがうまく廻り込みません。  そこで、モルタルに圧力をかけて注入します。  このモルタルは普通の物とは異なり、固形化しても体積が変化しない「無収縮モルタル」を使用します。

 

(4) 完 成

 柱と梁、それを支える強度のある壁(筋違い)、これらの一体化が耐震のポイントです。

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