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更新日:2024年2月15日

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9 糸魚川-静岡構造線の断層露頭群

ドンドコ沢露頭の写真

A構成・特徴・状態

糸魚川-静岡構造線は、小武川から静岡にかけては基盤岩からなる山地内を通過する。この間、基盤岩同士が接触する断層露頭が確認できる。それらは北から南へ、石空川、ドンドコ沢、大ナジカのガレ、西山温泉、湯島の湯上流の早川河床、新倉、新倉発電所対岸、新倉南方黒河内川林道の橋より上流の早川河床、身延町大城川、静岡市黒川林道などである。これらのうち糸静線の西側は北部から南部に向けて甲斐巨摩—鳳凰花崗岩、瀬戸川スレート、竜爪層群の火山岩類、同東側は巨摩層群、西八代層群、静岡層群などの中~上部中心統よりなる。これらの露頭では、断層にそって固結した塑性剪断変形組織やカタクレーサイト類が認められるが、未固結の断層ガウジや断層角礫は発達しない。また、断層にそって変動地形が認められないので、基盤岩内を通過する糸静線は活断層ではないと考えられる。ただし、組織地形としては明瞭である。

B周辺環境

以上の露頭群のうち見学の適地は、地点別ジオサイトで紹介した西山温泉露頭と新倉露頭である。前者は活動最初期の左横ずれ運動を記録し、後者はその後の逆断層運動を示す重要な露頭である。カタクレーサイト化された花崗岩マイロナイトと新第三系が接するドンドコ沢の断層露頭は見事ではあるが、露頭までの歩道がない。大ナジカのガレはさらに条件が悪い。その他の露頭は比較的簡単にアクセスできるが、崩壊砂礫、河床礫などにより埋積されている場合が多い。

C価値

糸魚川-静岡構造線は本州弧の中央部を横断する大断層で、主として付加体からなる島弧地殻と、伊豆-小笠原火山弧との直交衝突に起因して形成され活動してきた断層で、継続する衝突によって複雑な活動史をもつ。このような特異な状況下で形成され発達してきた断層は世界的にも希である。断層露頭は場所により様々な様相を呈している。この断層に伴う露頭群からの情報は断層の発達史を解読するために重要であるが、まだ完全に解析されたとは言い難い。今後の研究を進展させていく上でも露頭の保全に留意したい。

D場所

巨摩山地西縁、早川流域、竜爪山地東縁など

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